年齢を重ねるにつれてできやすくなる顔のイボ。イボと言っても実はたくさんの種類が存在します。このコラムでは特に顔に出来やすいものを厳選して紹介しています。アナタのイボがどのような種類のイボなのか、また治療はどのようにして行うのかを美容外科専門医が詳しく解説しておりますので、ぜひ最後までお読みください!
あなたのイボはどのタイプ!?まずは見た目で区別してみよう
顔にできるイボは多くは良性のものです。ごく稀に悪性のものもありますが、頻度は少ないためこのコラムでは割愛します。どの種類のイボかを診断するのに一番重要な情報はなんと言ってもイボの「見た目」です。当院では毎日たくさんの患者様のイボ治療を行なっていますが、その中でもほとんどは以下のもののどれかです。典型的な写真とともに見た目の特徴をざっくりと説明します。ご自身のイボはどれなのか検討をつけてみましょう。
①色素性母斑(しきそせいぼはん)
いわゆるホクロ。一般的に【ホクロと聞いてイメージするもの】はこの色素性母斑であることが多いです。1mm以下の小さい点状のものから、1cm超える大きなものまで様々です。膨らみがあるものや平らなものがあります。茶〜黒っぽい色をしていることが多いです。膨らみがあっても緩やかなドーム上で表面が滑らかなことが多いです。
②尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい、と読みます。医学用語ムズカシイ・・・)
ほくろに比べると色が肌色に近くなります。大きさは様々ですが、診療していると3~5mm程度のものが多いです。表面がザラザラ・ゴツゴツした見た目をしており、ほくろに比べて盛り上がりが強いのが特徴です。上の写真のように1個だけポツンと出来ていることもあれば、多発していることもあります。
③脂漏性角化症
「盛り上がりのあるシミ」といったイメージです。表面はザラザラおり、小さいものだと上記の尋常性疣贅の区別が難しいこともあります。脂漏性角化症はある程度高齢の方に多いですが、若くても【皮脂の分泌が多い人】にできることが多いです。顔のどこにでも出来ますが、写真のようにコメカミやフェイスラインなどの顔の側面に出来ている人が多いです。平らなシミの一部分が盛り上がっている場合は、この脂漏性角化症の可能性が高いです。
④老人性血管腫
赤いポツッとしたできもの。大体は1~2程度の小さいものが多いですが、大きいものだと5mmを超えるものもあります。顔だけじゃなく全身にできます。真っ赤なので色で区別しやすいでしょう。
⑤稗粒腫
【ひりゅうしゅ】もしくは【はいりゅうしゅ】と読みます。医師の中でもどちらで読むか意見が分かれるところです。医師に対してはどちらでも通じるので、どっちでも良いと思います(笑)白いプツッとした見た目をしています。目の下や鼻周囲、額などにできることが多く、1個だけ出来ている人もたまにいますが、多くの人は何個も出来ています。白ニキビと間違いやすいですが、2週間以上治らなければニキビではなくこの稗粒腫の可能性が高いでしょう。
⑥汗管腫(かんかんしゅ)
目の下にできやすいです。目の上や額にもできます。画像のように近い部位にまとまって多発していることがほとんどです。⑤の稗粒腫は中に白い内容物が詰まっていて薄い被膜で覆われいているイメージですが、この汗管腫は皮膚が分厚く肥厚しデコボコしているように見えます。
⑦脂腺増殖症
脂腺腫と表記されることもありますが、どちらも同じものです。できる部位としては額やコメカミ、小鼻などに多いです。白〜薄ピンクの見た目をしており、真ん中付近に凹みがあることが多いです。小さな花のようにも見えます。
⑧アクロコルドン
スキンタッグとも言います。首に多発していることが多いです。コロッとした見た目をしており、【茎】があるのが特徴です。首にできていて茎がないものは③の脂漏性角化症の可能性が高いです。
⑨粉瘤(ふんりゅう)
皮膚の下で半球状に盛り上がったシコリを触れます。写真のように表面に【黒い点】が見られることが多いのが特徴です。1mm程度の小さなものから数cmを超える大きさまで様々です。体にできる粉瘤ではなんと数十cmの巨大なものまであります!
⑩???
頭皮でできる肌色の大きなイボ。なんじゃこりゃ、と思いますが、実はこれ色素性母斑です。なんとホクロの仲間です。こんなに見た目が違うなんて私もビックリです(笑)
それぞれのイボについてもう少し詳しく解説します
それでは一つずつ少し詳しく解説します。ご自身のイボに検討がついた方はその項目だけ読んでいただいて構いません。
①色素性母斑
色素性母斑は、メラニン色素を産生する母斑細胞が表皮と真皮の境目もしくは真皮の中に存在して、褐色ないし黒色に見えます。生まれつきのものもありますが、思春期や大人になってからできることもあります。平坦なものや膨らんでいるものまで様々ですが、時には毛が生えたり表面がでこぼこすることもあります。実はホクロは稀に悪性化することがあります。ホクロがいつのまにかできて次第に大きくなる、色の濃淡がある、形状が左右対称でない、境界が不明瞭、傷ができて治らない、などは悪性化の可能性があるため、早めに医師に相談してください。
②尋常性疣贅
【ヒトパピローマウイルス】が感染することにより発生します。皮膚科で「ウイルス性のイボ」と言われた方はこの尋常性疣贅です。通常は痛みなどの自覚症状はありません。ウイルス性、というと他人に感染させないか不安になるかもしれませんが、他者への感染力は低いのでお風呂やプールなどを控える必要はありません。
③脂漏性角化症
別名【老人性イボ】です。多くの高齢の方に出来ているので、このイボがあるだけで見た目年齢が老けて見えてしまいます。加齢や紫外線が原因ですが、40代以降出来てくる方が多いです。皮脂の分泌が多い人に出来やすく、20代半ばの若年者でも出来ている方がいます。そういった方は皮脂の分泌をコントロールしたり、肌のターンオーバーを早めるホームケア製品を使用すると良いでしょう。痛みなどの自覚症状はなく良性なので心配は要りませんが、見た目への影響しますし、どんどん大きくなる可能性があるため早めに治療しましょう。
④老人性血管腫
老人性と聞くとショックを受けますが、20代で出来ている人も多くいます。医学的に言う「老人性」とは【加齢とともにできやすくなる】という意味で単なる高齢者を指すわけではないのでご安心ください(笑)これは毛細血管の増殖によって出来る良性の皮膚腫瘍です。無症状ですが、自然に消えることはありません。また血管そのものですので、間違って引っ掻いてイボが破れると出血してしまいます。加齢や紫外線、摩擦、生活習慣の乱れなどが原因として言われています。また色白な人の方ができやすい印象があります。
⑤稗粒腫
毛穴の奥の毛包という部分に角質が詰まることによって起こります。男性にもできますが、女性に出来やすいです。
⑥汗管腫
1~3mm程度のデコボコした良性の皮膚腫瘍です。女性ホルモンが関係しており、中年以降の女性の下まぶたに多発することが多いです。汗を出すエクリン汗腺が増殖することで発生します。痛みなどの症状はありませんが、自然に消えることがないため、気になる場合は早めに治療しましょう。
⑦脂腺増殖症
皮脂を分泌する皮脂腺の増殖によって起きる良性腫瘍です。実際に診察していても脂性肌の人に多く出来ています。これも自然に消失することはほとんどないため見た目が気になるようであれば除去しましょう。③の脂漏性角化症と同じように、皮脂の分泌を抑えるホームケア製品が予防には効果的です。
⑧アクロコルドン
首、脇など、皮膚の柔らかい箇所に多発する1~5mm程度のイボが典型ですが、中にはクルミ程度の大きさになるものもあり、スキンタッグと呼ばれることもあります。中年以降に多く見られますが、皮膚の摩擦や紫外線などの影響が要因と考えられています。当院では20代の比較的若年者でもアクロコルドンが出来ている方が多く来られます。良性腫瘍であり、痛み・炎症などを伴うことはありませんが、洋服やネックレスが擦れたりするなど不快感があります。また見た目の清潔感を大きく損なうことから除去を希望される方が多いです。
⑨粉瘤
皮膚の下で皮脂や角質などが溜まったもので、良性の腫瘍です。「アテローム」と呼ぶ医師が多いです。表面に【黒い点】が見られることが多く、これはもともとの皮膚に存在する毛穴の開口部です。そこに詰まった皮脂が酸化することで黒く見えます。内容物はドロドロとしており悪臭を放ちます。粉瘤は放っておくとどんどん大きくなる場合があり、感染することもあるので、形成外科で早めの切除をおすすめしています。
実は治療法はどのイボもほぼ同じ!
ここまでたくさんのイボの種類を解説してきましたが、実は治療法はほとんど変わりません。
日本で多く行われているのは、
①電気メスによる切除
②手術(切開し縫合する)
③パンチを使ったくり抜き
④液体窒素による冷凍凝固
⑤炭酸ガスレーザーを使用したレーザー治療
の5つが多いかと思います。この治療法から何を選ぶかについてですが、実はあまりのイボの種類は関係なく、イボの大きさや施術する医師の好みによって治療法を選択します。当院では①の電気メスによる切除で95%くらいのイボに対応しております。残りの5%は手術になります。ただし粉瘤の場合は再発予防のため、ほとんどが手術適応になります。
保険診療の皮膚科では④の液体窒素を用いた治療を行っているところが多いですが、治療に回数がかかることや取りきれないことも多々あるため当院ではあまりお勧めしていない治療法になります。(近所の皮膚科で液体窒素で治療したけど、全然取れなかったっていうご相談があまりにも多いです!)
実は予防法もどのイボもほぼ同じ!
イボは体質や加齢によるところも大きいのでいくら対策を行なっても完全に防ぐことはできません。ただし、ご自身でできる予防法を行うことによって発生の確率を低くすることはできます。
まずはなんといっても日焼けをしないということです。他にも極力摩擦を減らす、皮脂の分泌を抑えたり肌のターンオーバーを早くするホームケア製品(レチノールが含まれているゼオスキンシリーズなど)を使用することが効果的です。またマイクロボトックスという顔全体にボツリヌストキシンを注射する治療がありますが、皮脂や汗の分泌を抑えてくれるので、イボの予防にも効果的です。ただしこれらの予防法を実践したからといって、今できているイボが治ることはほとんどないので治したいのならクリニックを受診しましょう。
症例写真をどうぞ
当院で治療したモニター様の症例写真をご紹介します。
【上の5症例についての詳細情報】
施術内容:電気メスを使用してイボをとる施術
副作用・リスク:腫れ・痛み:数時間くらい
薄いかさぶた
炎症性色素沈着(3ヶ月から半年で改善)
施術の価格:シミ取り・イボ取り共に1mmにつき 4,400円
イボ取り放題:個数に応じて別途見積もり